西国第十番
明星山 三室戸寺
(みょうじょうざん みむろとじ)

 京都府宇治市菟道滋賀谷

 
京阪電鉄宇治線「三室戸」駅下車。駅の直ぐ南側にある道路を東の方向へ道なりに進む。途中、三室戸寺への案内標識、石柱などがあるのでそれに従うと道に迷うことはない。
 駅から三室戸寺まで徒歩約15分。

宗派:本山修験宗(別格本山
   
本尊:千手観世音菩薩

開基:大安寺行表法師


 光仁天皇が行幸の際、霊感を感じたので藤原犬養に命じ周辺を探させたところ、宇治川の支流である志津川上流の岩淵で黄金の仏像を発見したと伝えられている。この仏像を安置するため、宝亀元年(770年)に御室の一部を移し、奈良大安寺の行表法師を招き、御室戸寺としたのが寺の起源とされているが、智証大師円珍の開山という説もあるという。

 御室戸寺は後に三室戸寺に改称された。
 
 創建時は仏像が発見された場所の近くの山中に寺があったとされているが、度重なる火災に遭い、15世紀に現在の場所に移されたという。
 赤く派手に塗られているが、意外に簡素な造りの「山門」をくぐると、参道右側下にツツジ、アジサイなどが植えられている庭園が拡がっているのが見える。

 後述するが、このアジサイ庭園の存在が三室戸寺を「アジサイ寺」といわせる所以になっているのだろう。

 石段を上がると、蓮を植えた大きな鉢が多数並んでいるのが見え、その奥に「本堂」が建っている。

 現存の「本堂」は重層入母屋作りの重厚な建物で、文化2年(1805年)に再建されたものといわれており、京都府の文化財に指定されている。

 「本堂」に安置されている本尊「千手観世音菩薩」は光仁天皇が霊感を得て志津川の岩淵で感得した仏像であるという説もあるが、本尊は秘仏であり、この説の真偽はわからない。
 「鐘楼」の東側、木立の中に朱塗りの「三重塔」が建っている。
 この「三重塔」は江戸中期のものといわれており、明治43年(1910年)に兵庫県佐用郡三日月町の高蔵寺から移築
されたものである。




「本堂」の前には蓮を植えた大きな鉢が置かれており、6月中旬〜7月には花をつける。
 また、当寺は「アジサイ寺」ともよばれているが、6月中旬には山門付近の参道の下にある一万株のアジサイが植えられているといわれる「庭園」は満開となる。
 三室戸寺には季節に応じアジサイ、ツツジ、蓮などが咲き、花の寺といわれている所以がよくわかる。

御詠歌
夜もすがら月を三室戸わけゆけば宇治の川瀬に立つは白波
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