西国第二十六番
法華山 一乗寺

(ほっけさん いちじょうじ)


 兵庫県加西市坂本町

 
JR山陽本線姫路駅下車、駅前から神姫バス、法華山一乗寺経由社(やしろ)行きに乗車し、法華山一乗寺で下車する(バス乗車時間:約35分間)。法華山一乗寺バス停は一乗寺の境内入口前にある。
 

宗派:天台宗

本尊:聖観世音菩薩

開基:法道仙人


 この寺を開いたとされる法道仙人は念持仏、仏舎利と宝鉢だけを持ってインドから雲に乗って渡来したとされている伝説的な僧である。法道仙人は食べ物が欲しくなれば、宝鉢をとばして供養を受けたといわれている。
 この神通力が都にも聞こえ、孝徳天皇の病気治癒祈願を行ったが、治癒の功績が認められ、勅願により白雉元年(650年)に創建したと伝えられている。ただ、創建年については大化5年(649年)とも白雉2年(651年)ともいわれており、明確ではないようである。

 バス停の前が一乗寺の事実上の境内入口になっているが、通常、寺院で見られる山門はこの場所にはない。

 本堂は石段を登りきったところにある。一番下から本堂までの石段は三つに分かれ、現在「本堂」は改修中である。
 三つに分かれた石段の内、一番上の石段は上ることが出来ない。本堂の改修には長期間を要するようで、かなりの期間、本堂や本堂周辺の堂宇の拝観は出来ないものと思われる。

 一番目の石段を上がると左側に止観道場として使用される「常行堂」が建っている。

 常行堂は聖武天皇の勅願による建立と伝えられているようであるが、何回かの火災に遭遇し、現在の建物は明治元年(1868年)に建てられたものとされている。

 右側手前に見えるプレハブの建物は本堂改修のために造られた臨時の納経所である。本堂改修中は、常行堂を仮本堂としている。

 重要文化財に指定されている本尊、「聖観世音菩薩」もここ仮本堂に移されているようであるが、秘仏であるため直接の拝観はできない。 

 常行堂を左に見て二番目の石段を上がると左側に「三重塔」が建っている。

 この三重塔は平安時代末期、承安元年(1171年)の建立とされており、建築年代が明らかであり、日本最古の塔の一つであるという。屋根は上にいくほど小さくなるように造られており、三重の逓減率がかなり大きいようである。そのためか他に類を見ないくらい安定感のある優美な塔である。なお、この塔は昭和16-18年(1941-1943年)に解体修理が行われたようである。

 この塔の建築様式に古代的な手法が見られるのと同時に、古代から中世への移行期の技法のあり方がうかがい知れるということから、建築史上著名であるという。

 「奥の院、開山堂」である。

 開山堂には一乗寺の開基、法道仙人を祀っているといわれているが、堂の扉は閉められており、直接の拝観はできない。

 

御詠歌

春は花 夏は橘 秋は菊 いつも妙なる 法の花山