西国第七番
東光山 龍蓋寺(岡寺)

(とうこうざん りゅうがいじ(おかでら))

 奈良県高市郡明日香村岡

 近鉄南大阪線橿原神宮前駅から、奈良交通バス岡寺前行きで岡寺前下車、徒歩約10分。


宗派:真言宗豊山派

本尊:二臂如意輪観世音菩薩

開基:義淵僧正

 両親が観音に祈願して生まれてきたのが義淵であるということから、義淵は観音の申し子といわれた。この話を聞いた天智天皇は義淵を引き取り、岡宮で草壁皇子と共に育てたとされている。後に、天智天皇は仏教の指導者となっていた義淵に岡宮を与えたという。天智天皇2年(663年)に義淵がこの宮を寺としたのが当寺の創始であるとされている。ただ、この創建年は明確ではないようである。
 近くの山に住む龍が村の人々を苦しめているのを見て、義淵は法力でその龍を池に封じ込め石で蓋をしたという。これが龍蓋寺という名称の由来になったといわれている。

 この寺は「龍蓋寺」という正式名称よりも「岡寺」の名でよく知られており、日本最初の厄除け霊場である。

 バス停横の石鳥居をくぐり、坂道を約10分歩くと「仁王門」に着く。

 「仁王門」は華麗な桃山様式の建築で、国の重要文化財に指定されている。

 門内側の屋根庇の下に白い龍の彫刻が見えるが、これは義淵によって閉じ込められたという龍の像なのだろうか。

 仁王門を抜け石段を上がると広場に出、ここで「本堂」が目に入る。

 本堂向かって左側に「びんずるさん」が安置されている。心身に痛み悩みのある人は、自分の部位とびんずるさんの同じ部位を交互に撫でてお祈りすれば、痛み悩みが治癒するという。

 現存の本堂は文化2年(1805年)に造られたものといわれている。

 本堂の西南側の小高い場所に「三重塔」が建っている。

 この三重塔は昭和61年(1986年)、弘法大師記念事業として510余年ぶりに再興されたといわれ、見た目にも新しい建物である。

 龍蓋寺には上記の他に何点かの重要文化財が所蔵されているとのことである。また、八世紀末に制作され、国宝に指定されている木心乾漆造り「義淵僧正坐像」が所蔵されていることが知られている。ただ、この坐像は義淵僧正の真の肖像ではなく、もとは僧侶の理想の姿をあらわしたものであったが、高僧であった義淵に理想の僧侶を見て、義淵の名が付けられたものである、との説があるという。

御詠歌:
けさ見ればつゆ岡寺の庭の苔さながら瑠璃(るり)の光なりけり
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