西国第三番
風猛山 粉河寺

(ふうもうざん こかわでら)

 和歌山県那賀郡粉河町

 
JR和歌山線粉河駅下車。北の方向へ進み、中津川にかかる赤い欄干の橋を渡ると直ぐ粉河寺である。駅から寺まで徒歩約10分。
 

宗派:粉河観音宗総本山

本尊:千手千眼観世音菩薩

開基:大伴孔子古

 宝亀元年(770年)のある日、猟師の大伴孔子古(くじこ)が山中で霊光を発する場所を見、これがため、孔子古はこの地が霊地であると考え、小堂を建立したと伝えられている

 この小堂に童男大士が訪れ、七日間、堂に籠もって仏像を刻み、これを本尊にするようにと孔子古に与えたといわれており、翌日、童男大士が去ると、その仏像は金色に輝く観世音菩薩になったという。

 孔子古は童男大士こそ観世音の化身と考え、以後、殺生をやめ供養礼拝したといわれ、これが粉河寺の創始と伝えられている。

 この縁起は国宝に指定されている「粉河寺縁起」という紙本著色絵巻に描かれているが、オリジナルは京都国立博物館に寄託されているようであり、粉河寺にはその複製品が保存されている。


 JR粉河駅を出て、まっすぐ北に進むと粉河寺の「大門」に行き着く。大門の手前付近には、かつて門前町として栄えた街並みの雰囲気が残っている。

 「大門」は数年前から改修中であり、現在(2001年4月)、その全容を見ることは出来ない。

 童男堂の前を更に東の方向に進むと、「中門」に着く。現存の中門は天保3年(1832年)の建立とされている。

 門には四天王が安置されており、写真ではよくわからないが、門入口の上には「風猛山」の山号が掲げられている。この額は、紀州十代藩主、徳川治宝の直筆によるという。

 中門といっても、華麗で、且つ堂々とした立派な門であり、西国札所の寺院の山門でもこれだけのものは数少ない。

 「中門」は重要文化財に指定されている。

 

 「中門」をくぐり、「牧水の歌碑」を左に見ながら奥に進むと左側の一寸高い場所に「本堂」が建っている。

 現存する「本堂」は享保5年(1720年)に再建されたものといわれ、江戸時代中期の寺院建築の代表的建造物とされている。

 造りは直下の写真でわかるように屋根を複雑に組み合わせた八棟造りといわれている様式であり、これがこの建物を大きくかつ立派に見せるのに役立っている。

 「本堂」は重要文化財に指定されている。

御詠歌

  
父母(ちちはは)の恵みも深き粉河寺ほとけの誓いたのもしの身や